病院のスタッフは数人が忙しく動き回っている。
わたしの病名が、心筋梗塞だと伝えたスタッフは
一旦、カテーテル手術の概要を説明し終えた。
といっても、わたしの意識は朦朧としていて殆ど理解できてないのだけれど。。
そして、急に異な事を聞いてきた。
「ところで、ハンコなんかお持ちじゃないですよね…」
「?」
「手術についての許諾書にサインとハンコがいるんですよ」
「!?」
これが、あの有名なインフォームドコンセントという奴か!
しかし、まさかどんな状態でも同意を取ろうとするとは
思わなかった。
「ないですよね?」
「…」
「じゃとりあえずサインを、でここに拇印をお願いします」
ある意味、この状態でイヤだといえる人間は、
まだ体力的に余裕があると判断できるのかもしれない。
医師を信用して身体を預けると言う意味においては、
インフォームドコンセントなんてあろうが、なかろうが
なにも変わりはないのだが、こんな状態に陥ったときは
ため息しか出ない。(もちろんため息する余裕すらないのだが)
手際よく朱肉が用意され捺印も済む。
しかしICU(集中治療室)に朱肉が用意されているのか…。
